モデルは個人事業主
モデルの仕事について

モデルは個人事業主

モデルさんは個人事業主と言われますが、個人事業主ってなんでしょうか? モデルさん以外にも、芸能人、プロ野球選手、サッカー選手、医者、デザイナー、作家、大工さん、保険外交員、弁護士などの◯◯士などが個人事業主です。 「株式会社◯◯」など会社名が入っていない名刺を持っている人ですね。

個人事業主とは?

個人事業主とは?

モデルさんは個人事業主と言われますが、個人事業主ってなんでしょうか?
モデルさん以外にも、芸能人、プロ野球選手、サッカー選手、医者、デザイナー、作家、大工さん、保険外交員、弁護士などの◯◯士などが個人事業主です。
「株式会社◯◯」など会社名が入っていない名刺を持っている人ですね。

では、個人事業主ではない一般的なOLさんと何が違うのでしょうか。
法的な部分、税金等のお金の部分を中心にみていきましょう。

まずOLさんから。
OLさんは会社と雇用契約を結んでいます。
雇用契約を結んでいる人は「従業員」「正社員」「アルバイト」と言い、その人達が貰うお金のことを「給料」と呼びます。
会社の指揮・監督のもとで働き、働いた時間に応じたお給料をもらいます。

ですので、もし定時がきたら(仕事が終わってなくても)帰れますし、終わらせるために残った場合にはその時間に応じた残業代が支給されます。

一方、モデルさんは「個人事業主」と言われます。
個人事業主が貰うものは「給料」とは言わずに、「報酬」と呼ばれます。
また、個人事業主には定時なんてありません。仕事が終わるまで働かなければいけませんし、途中でやめたら報酬は0です。
逆に、やったらやった分だけ貰えるとも言えます。

では、具体的には何が違うのかもう少し詳しくみていきましょう。

健康保険・年金

(1) 健康保険・年金

OLさんの場合には、会社で健康保険・(厚生)年金に加入しています。
ですので、健康保険料も年金も会社からお給料をもらうときに天引きされているため、自分で手続きをしたり自分で払い込む必要はありません。

モデルさんの場合には、会社に所属していないので健康保険や年金は自分で加入の手続きをしなければいけません。
自分で加入する健康保険のことを国民健康保険、年金を国民年金と言います。
ですので、市区町村に行って国民健康保険への手続きを自分でしないと、健康保険証がもらえません。

(2) 税金その1 源泉徴収(天引き)と年末調整

OLさんもモデルさんも、その年の1/1~12/31に稼いだお金については、所得税という税金がかかります。

翌年の3/15までに確定申告をして、税金を支払っていくのですが、日本の働いている人全員が確定申告をしたら税務署はパンクしてしまいますし、私達が個人個人で自分の税金の計算するのって、難しいし、面倒。
難しいし、面倒だと、やりたくなくなるのが人情ですね。

だから、めんどくさがりやさんは「計算が面倒だから、計算しないし、税金なんて払わない!」 と。
こういう人がいると、国としては困ってしまうので、所得税のとりっぱぐれのないように、 会社にこう命令しました。

国 「給料や報酬を支払うときに、あらかじめ税金を天引きしてその人に変わって会社が国に払いなさい。」
会社「わかりました。でも、いくら天引すれば良いのですか?12月にならないとその年の税金はわかりませんが。」
国 「じゃあわからないから多めにとっておきなさい」

だから、僕らの所得税は ”強制的に” ”多めに” 天引きされています。
でも、多めにとられっぱなしじゃ、 いくらなんでもまずいですよね?
ですから、会社に所属しているOLさんは、12月のお給料を支払われるときに、 今年1年分の所得税を正しく計算しなおします。

具体的には、 1月~11月に多めに天引きした分を、 12月のお給料で返す(調整する)仕組みです。
だから「年末調整」と呼ばれます。
会社が一人ずつ丁寧に計算してくれるので (経理は大変ですが)貰う方は楽です。
ですので、年末調整が終われば、OLさんの税金の計算は終了となり、 わざわざ確定申告をしなくても問題ありません。

モデルさんの場合も、会社から報酬をもらうときに約1割の税金が多めに天引きされています。
ここまではOLさんと一緒。
ですが、会社に所属していないので、誰も年末調整をしてくれません。
よって、自分で計算して確定申告が必要となります。

所得税の計算方法

(3) 所得税の計算方法

所得税は、その年の儲けに税金がかかります。
儲けとは、売上(≒収入)から経費を差し引いた金額です。

OLさんの場合、給料(≒収入)が決まれば、経費も自動的に計算されるので、儲けも確定します。

ですが、モデルさんの場合には、ちょっと違います。

いろいろな会社からもらった報酬も、それを得るための経費についても、全て自分で領収書を集めて集計しなければいけません。OLさんのように自動で計算されるわけではないのです。
ですので、報酬をもらったときにもらう明細(支払調書)や、交通費などのいろいろな経費の領収書を集めて集計・計算しなければいけません。

そして、確定申告をして、多めに天引きされていた税金を返してもらわなければいけません。
たまに、多めに天引きしていたけれどそれでも足りなかった場合には追加で税金を納める場合もありますが、ほとんどの方は確定申告することで、多めに天引きされていた税金が返ってくるので、「確定申告はした方がお得」かと思います。

(4) 住民税

個人の儲けには、国に支払う所得税の他に、市区町村に支払う住民税があります。
確定申告をすれば、国から市区町村にそのデータが転送され、住民税の計算を市区町村がしてくれますので、こちら側は何もしなくてもOKです。

その代わり、OLさんの場合には、お給料から住民税が天引きされているのでわざわざ自分で納付することはありませんが、モデルの場合には、市区町村から送られてくる納付書にしたがって、自分で納付しなければいけません。

将来、マイホームを買ったり、マイカーを買ったりするときにローンを組む場合があります。
ローンの際には、確定申告書の控えを提出をしなければいけないことがほとんど。
その際に「知らなかったから」と言って何もしてなかった場合には、ローンがおりなかったりすることがあります。

税金は専門家がいるくらいなのでとても難しいですが、最低限の考え方だけは覚えておかなければいけませんね。

著者:小山武仁(税理士・ファイナンシャルプランナー)