インタビュー スタイリスト 樋田直子さん

profile
樋田 直子

桑沢デザイン研究所専門学校卒業後、シューズデザイナーや(株)資生堂の花椿編集部勤務を経て、89年にスタイリストとして独立。
数多くのタレントや広告、雑誌のスタイリングなど第一線で活躍中。

モデルにとって大切なものは?

「腰が張っているとか、脚が太くないのにこういうラインの服を着ると太く見えやすいとか、人にはそれぞれ身体的特徴があります。

モデルはその特徴を理解して、自分の体型を一番良く見せる角度やポーズを鏡の前で工夫して身につけておくことが必要だと思います。

そうすることで、撮影のとき、今日のこの服なら脚の置き方はこのほうがいいとか、こっちの角度のほうがいいとか、考えられるようになりますからね。

もちろん、まわりのスタッフもアドバイスしますが、動くのはモデル自身。モデルがちゃんと理解しているかいないかで見え方はすごく違ってくるし、それがモデルの表現力にもつながってきます。
ヒールが低めの靴のときに脚をキレイに見せるために『高い靴はないですか?』と言う子がいるけれど、微妙に背伸びすればいいだけの話。

売れている子は何も言わずにそうするし、そのおかげでキレイな作品が撮れる。与えられた条件のなかで、最大限キレイに見せる工夫をしてくれるのが良いモデルだと思います」

スタッフに好かれるモデルと好かれないモデルの違いは?
 

スタッフに好かれるモデルと好かれないモデルの違いは?

 
「撮影現場で早く終わらせて早く帰りたいっていうオーラを出す子がいるんです。『あと何カット?』っていうことばかり聞いてくる。

現場にいるスタッフ全員、仕事に集中しているのに、早く帰りたいオーラを出されると、そんなにやる気がないのかなって思ってしまいます。

でも一方で、いいモデルって、今日の撮影のテーマやストーリーを考えて、どういうふうに自分はしていればいいのか、この服の特徴はどこにあるのかなど、仕事の内容に突っ込んだことだけを一生懸命聞いてきて、集中して仕事に取り組んでいる。
スタッフもみんな人間だから、『いい子だな』と思えば愛情が加わります。で、そうなると、より一層その子がキレイに写るように努力する。

とくに新人の場合、スタッフに好かれると、雑誌社等で『あの子いいよ』って薦めてもらえることも多いですから大事ですよ。
身近なスタッフに可愛がってもらえなければ先はないと考えておいたほうがいいと思います」

伸びるモデルとは?

伸びるモデルとは?

「モデルになりたい子たちの中には、カワイイあるいはキレイな自分を世の中に露出してみんなに見てもらいたいとか、有名になりたいと思っている人も多いと思います。

でもそれ以前に、スタッフたちと作り上げる作品のなかで、自分もスタッフの一員としていかに自分の仕事をまっとうできるかということに注力していてほしいですね。

たとえば、”○○ちゃんは、『○○』という雑誌に出ていていいな”ではなくて、その雑誌を見て、この子はこういう顔もするんだとか、こういう服ではこんなポーズをとるとキレイに見えるんだということなどをもっと研究してほしい。
売れている人というのは、ただカワイイとかキレイなだけじゃなくて、表現力を持っていて、みんなの目を惹きつけるから人気が出て、有名になる。

そして、仕事の内容のレベルの高い人とは、スタッフもまた仕事がしてみたいと思う。
売れっ子モデルになりたいなら、売れている人たちの仕事の内容をよく見て、表現方法を研究するべきです」

プロ意識の高いモデルってどんな人?

「私もよくモデルたちと一緒に食事に行きますが、売れているモデルは遅い時間に食べないし、次の日早いときは食事に行きません。顔がむくみやすいとか、脚がむくみやすいとか、人それぞれ、体質は違います。

まずは自分の特徴をよく理解して、常によい状態に保てるよう気をつけていてほしい。スタイルと顔の美しさをキープするのはモデルとしての絶対条件なのですから」

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樋田 直子

桑沢デザイン研究所専門学校卒業後、シューズデザイナーや(株)資生堂の花椿編集部勤務を経て、89年にスタイリストとして独立。
数多くのタレントや広告、雑誌のスタイリングなど第一線で活躍中。