(1)芸能事務所とは
一般に芸能事務所は「プロダクション」と呼ばれています。プロダクションとは、新しく事業を起こす、もしくは所属者を使い産業を盛んにすることを目的としている会社です。…と、言われてもちょっとわかりにくいですよね。ざっくりと言ってしまえば、会社員のような形になります。契約により会社に所属する、ということになるので、基本的には会社の方針に従って労働し、お給料という形で報酬を受け取るのです。お給料は、実績や仕事量、スキルレベルによって個人差がありますが、最低限の保証をしてもらえます。なかなか仕事がなくても、契約したお給料分の額はもらえることになります。
また、デビューするまでの期間や駆け出しの頃は、どうしてもレッスン料や宿泊費、交通費などお金のかかることが多くなってしまいます。芸能事務所によっては、この費用を先行投資してくれる場合があります。
(2)じゃあ、モデル事務所は?
モデル事務所は、「エージェンシー」と呼ばれています。エージェンシーとは、所属モデルに仕事を仲介し、クライアントとモデルの間に入って取引を成立させるような役割です。所属しているモデルは、個人事業主として独立しているので、事務所とは対等な立場ということになります。なので、仕事が成立した時にマネージメント料を事務所が引いた額を、ギャランティとして支払われる形になります。
先ほど芸能事務所では、仕事がなくても最低限の保証があると話しましたが、モデル事務所の場合は、仕事が増えれば増えるほど収入が増える分、仕事が何もない状態だと収入もなしということになってしまいます。
また、レッスン料や交通費なども、モデル自身が負担することが多くあります。所属事務所によってかかる費用は大きく異なりますが、「個人事業主」として独立していた形をとっているため、自分のことは自分で、ということも多くあるのです。
(3)結局どっちに入ればいいの?
これは、一概にどちらがいい、とは言えません。特に最近では、モデルと芸能人の境界線が薄くなっている傾向もあるからです。例えば、モデル出身でもテレビで活躍している人は多くいますし、逆にタレントから始まって最初はテレビなどに出ていたのに、気づけば雑誌の専属モデルになっている、なんてことも結構あるのです。
なので、モデル事務所に入ったらモデルの仕事だけに限られるわけではありませんし、芸能事務所に入ったからといって、モデル事務所所属よりもファッションショーに出にくくなる、ということではないのです。
ただ、やはりモデル事務所の方がモデルとしての仕事が入ってくる機会が多いのは事実です。プロのモデルとして、ファッションショーや雑誌の表紙を目指したい、というのであれば、モデルの専門家でもあるモデル事務所に入るのが近道と言えるのかもしれません。
ちなみに、モデル事務所にもいろんな種類があります。広告に強い事務所や、ショーに強い事務所、海外との繋がりが深い事務所など…。自分が気になる事務所が、どんな所に力を入れているか、調べることも必要です。
モデル事務所と芸能事務所。実は、昔よりもその境界線ははっきりしなくなってきています。でも、事務所選びをする時にこの2つの違いを理解していないと、契約した後に「想像していたのと違った」なんて取り返しのつかないことにもなりかねません。まずは、自分が目指したいモデル像をはっきりさせること。その上で、自分に合った事務所を決められるといいでしょう。面接などの際に、事務所側のスタッフと話す機会があるので、実際に働いている人に聞いてみるのもいいかもしれません。