KEIKO
:
第1話 背が高いのも、悪くないんじゃない?

彼女の指さす先に、背の低い若い男性がいた。その人がこっちに向かい近づいてくる。
「こんにちは、君たち中学は?」
「もう帰ります。 どちらさまですか??」
その彼が、私にとっての最初のスカウトマンだった。結局は、
「君たちまだ小学生なの???
じゃ、駄目か...。 僕はこういう者だけど、お母さんに名刺渡しといてくれる?」
と
モデル事務所の名前が
書かれた名刺だけを渡され、男性は帰って行ったが、それからというもの、
彼女といると、自分達に向けられる周囲の目が違うことに気づき始めた。
「私たちって、なんか目立ってるっぽい?」
「背、高いからかな・・・」
「みんなより10センチは高いからね。。」
二人ともすでに160センチを超えていた。
しだいにその身長だけでなく、なんとなく"自分たちの価値"みたいなものにも気づき始めていた。
それでも、その頃はのちに自分の背が176センチになることも、
有名ブランドのショーモデルになることも、まだ考えてもみなかった。
当時、テレビでは安室奈美恵が大ブレイク中で、同級生のみんなはそんな少し年上の彼女に憧れていた。
「チカ、アムロのチェックミニ超かわいくない?」
「え? 私はあんまり興味ないなぁ。 もっと年上の、梅宮アンナのほうが大人っぽくて好きなんだよね~。あれ...、なんかおかしい?」
「え?、チカやばいって(笑)!」
5つ上の姉の部屋で見た女性誌には、彼女が毎号のように表紙を飾っていた。
そんな折り、中学に入ってから、お互いなんとなく疎遠になってしまった樹里と、久しぶりに会うことになった。