SAEKO : 第3話 健康法は毛糸のパンツ

「Queen」編集部の私の担当編集者は30代の久我さん。ほんわかした雰囲気があると誉め言葉を頂く私とは対極の存在で、「バリバリ」って音がしそうなくらいテキパキしてカッコいい。無駄話をしている暇なんかはなく、結論だけをズバッと言う。

「SAEKOはまず、モデル事務所に入りなさい。あなた向きのモデル事務所は、これとこれとこれ。で、自分がどういうモデルになりたいのか、コンセプトをちゃんと決めていらっしゃい。読者モデル時代は、にっこり笑っていれば十分だったけど、これからはやっぱり「服を見せる」っていうことを 意識しなきゃダメよ」 

「やっぱり、私のイメージは"ふんわり"でしょうか」

「もう少し、自分で考えて」

ボンヤリと自分のコンセプトを考えながら、久我さんに付いて、事務所まわりをはじめ、好印象だった2社に絞りどっちにしようか迷っているときのこと。
今の事務所の堀越さんが、言ってくれた言葉が決め手になった。

「わが社では、あなたの売り出し方は決まっています」

「どんな売り出し方なんでしょう?」


喉の奥まで出かかったが飲んだ。「ここに違い無い」という確信が沸き上がったからだ。
どうやら、私は決断系の言葉に弱いらしい。恵太、瑤子、久我さん、堀越さん。他力本願で進んできた私は、人生のマイルストーンで、常にだれかに背を押されている。

  「よし、この事務所でSAEKOとしてのスタートを切ろう」
 そう決めた。