KEIKO : 第3話 そして東京

 井の中の蛙  不安との戦いと朗報
「あの東京のモデル事務所の社長に会ってみよ!」

 短大入学前に会ったきり、一度も会っていない、その社長、國枝さんに私が東京まで会いに行ったのは、最初の出会いからちょうど2年が経っていた。
が、この私の申し出を快く受けてくれ、すぐにNeoInternational所属のモデルとしてデビューすることになった。
名古屋のモデル業界では、そこそこ有名だった私。でも、東京のモデル業界では175cmくらいは珍しくないらしい。
 これまでは初対面の人には必ず「デカっ」って驚かれていたのに、東京の業界の人は、誰もそんなことは言わない。
ブックに載せるプロフィール写真を撮ってくれたカメラマンの鹿野さんには、こう言われた。

ショーのモデルとしては小さいね」

「えーっ、私、名古屋ではダントツに大きいと言われ続けていたんですっ」

「まぁ、世界は広い。国際的なショーのモデルなら180cmあるのはざらだよ」


名古屋では持て余し気味だった私の身長。高校時代までは、コンプレックスだったものが、今となっては武器になると思ってた。
 これまで、デカいメリットでお呼びが来ていたファッションショーの仕事。それが実力だと勘違いしていたけど、このくらいの身長はザラだと言われてしまうと、自分がいかに「井の中の蛙、大海を知らず」だったかがよくわかる。

「東京という大海を泳がなければ」

口に出すと、なおさら、そのプレッシャーに押しつぶされそうになった。
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